公開買付け(TOB)
Tender Offer Bid
上場企業の株式を市場外で不特定多数から買い付ける手法。金融商品取引法で一定条件下で義務付けられる。
公開買付け(TOB)とは
公開買付け(TOB: Tender Offer Bid)は、上場企業の株式等を市場外で不特定多数の株主から一定価格・一定期間で買い付ける制度です。金融商品取引法に基づく開示規制の下で行われ、株主に対する公平な売却機会の提供を目的としています。
TOBが義務付けられるケース
以下のいずれかに該当する場合、TOBの実施が義務付けられます(強制的TOB)。
- 市場外取引で株券等の買付け等を行い、買付け後の株券等所有割合が1/3を超える場合
- 60日間に市場内外の取引で10名以下の者から株券等を買い付け、保有割合が1/3を超える場合
- 既に1/3超を保有する者が、市場外で5%超の株券等を買い付ける場合
実務上のプロセス
- TOB価格の決定: 市場株価に対するプレミアム(通常30〜50%程度)を付与して買付価格を設定
- 公開買付届出書の提出: 関東財務局に届出書を提出し、新聞公告を実施
- 買付期間: 法定で20〜60営業日(実務上は30営業日が多い)
- 応募・決済: 株主が応募し、買付条件を満たした場合に決済
- スクイーズアウト: 90%以上取得した場合、残存少数株主を強制的に排除可能
対象会社の対応
TOBが発表されると、対象会社の取締役会は株主に対して賛同・反対の意見表明を行います。友好的TOBでは賛同意見が表明されますが、敵対的TOBでは対抗策(ポイズンピルなど)が検討されることもあります。
最近のトレンド
近年はアクティビスト(物言う株主)によるTOBの提案や、MBOと組み合わせた非公開化案件が増加しています。2023年以降、東証の市場改革を背景にPBR1倍割れ企業へのTOBが活発化しています。
法規制と罰則
TOB規制に違反した場合、課徴金や刑事罰の対象となります。インサイダー取引規制との関連も深く、TOB情報の管理には厳格なコンプライアンス体制が求められます。
TOBの費用構造
TOBの実施には、フィナンシャルアドバイザー(FA)報酬、リーガルアドバイザー費用、公開買付代理人手数料、新聞公告費用など多額のコストが発生します。大型案件では数億円規模になることも珍しくありません。
メリット
- ✓一定価格での大量取得が可能
- ✓買付条件に下限を設定でき、リスク管理ができる
- ✓株主に公平な売却機会を提供
- ✓90%以上取得でスクイーズアウトが可能
デメリット
- ✗手続きが複雑で時間とコストがかかる
- ✗公開情報となるため秘匿性がない
- ✗競合他社による対抗TOBのリスクがある
- ✗対象会社の反対により敵対的買収に発展する可能性
よくある質問(FAQ)
TOBの買付価格はどのように決める?▼
市場株価に対して通常30〜50%のプレミアムを付与します。プレミアムが低すぎると応募が集まらず、高すぎると投資回収が困難になるため、DCF法や類似取引比較法を用いて適正価格を算定します。
部分的なTOBは可能?▼
はい。買付予定数の上限を設定した部分TOBが可能です。ただし、全株取得を目指す場合は全部買付義務の要件に注意が必要です。
友好的TOBと敵対的TOBの違いは?▼
対象会社の取締役会が賛同するかどうかの違いです。友好的TOBでは事前に合意し、応募推奨がなされます。敵対的TOBでは反対意見が表明され、防衛策が発動されることもあります。